弁護士コラム

相続問題を考えるにあたって「生前対策の問題」

2017.06.22 / 弁護士コラム・「遺言相続」

相続の問題というのは、大きく2つに分けられます。
財産を遺される方(以下では、「被相続人」と言います。)が、亡くなる前の「生前対策の問題」と亡くなってしまわれた後の「遺産の分配の問題」です。

今回は1つめの「生前対策の問題」についての内容となります。

生前対策の問題

相続税についての法改正によって、平成27年1月1日以降、相続税が課される人が増え、またその税額も増えました。そのため、昨今では、節税という観点からの生前対策の必要性が叫ばれ、数多くのセミナーが開催されたりしています。
もちろん、被相続人の立場からすれば、出来るだけ多くの財産を相続人に遺してやりたいという気持ちはとても良く分かります。
しかし、生前対策をする際に注意すべきなのは、税金の額ばかりではありません。

私は、これまで弁護士として相続の相談をたくさん受けてきて、行き過ぎた節税対策が紛争を大きくしている案件を数多く目の当たりにしてきました。このような場合が特に顕著ではありますが、私は、相続開始後に相続人間で紛争が起きる主たる原因は、被相続人の生前の対応(又は何らの対応もしなかったこと)にあると考えています。

自分の遺産が原因で、それまで仲の良かった子ども達がお互いに罵り合い、最終的には口も利かなくなってしまう。被相続人にとって、これほど悲しいことはありません。このような事態にならないためにも、弁護士のアドバイスを受けて、しっかりと生前対策をしておくことを強くお勧めいたします。また、生前対策の時間がありすぎて困るということはありません。十分な時間があれば、それだけ取りうる選択肢の数は増えますし、節税という点においても、より大きな効果のある対策が可能になります。

したがって、出来るだけ早く弁護士にアドバイスを受けて、生前対策に取り掛かるべきだと思います。

次回は「相続開始後の問題」についての内容となります。

弁護士コラム一覧へ戻る